「メタ授業」を活用して、ラーニングを現代の必須科目にしたい

我々は、どう学んでいるのか、どう学ぶと良いか?を学ぶ「メタ授業」を通じて、ラーニングを一般の教養にしたい。それが、学会のミッションです

「メタ授業」を活用して、ラーニングを現代の必須科目にしたい
Photo by Tim Mossholder / Unsplash

先日、大学で教鞭をとる友人から、こんな相談を受けました。

「教務主任になれたので、学校のカリキュラムを決定できるようになったんだ。そこで、もっと学生のためになるカリキュラムの作り方や、授業のアイデアはないだろうか?」

私は、以前から温めていたアイデアを提案しました。

それは、 「メタ授業」 です。

大学生、社会人に必須の能力とは?

一昔前、生涯学習といえば、どんなことをイメージしますか?一昔前なら、「趣味として、色々学ぶ」ことを指していました。

例えば、習字、ギターを習う、舞踊を習う、市民講座で歴史を学ぶなどです。

しかし、近年「生涯学習」は、「他者から評価され、役立つことを学ぶ」ことに変わりつつあります。

興味がある方は、文科省の「生涯学習」のページをご覧ください。

第3章 生涯学習社会の実現:文部科学省

ここでの議論を一言で言うと、「教育を提供する側の改善」です。

学費を行政側で負担する、単位認定を細かくする、受講できる時間帯をフレキシブルに変るなどの提案、審議が行われています。

このような努力は、徐々に現れますが、恐らく、教育に大きなインパクトは与えないと思います。

今の時代、玉石混交ではありますが、YouTube、ブログ、書籍、オンラインコース、Webサービス、ニュースレターなどで、さまざまな形で「教育コンテンツ」が提供されています。

発信側もテクノロジーを駆使して、講師が自ら「動画撮影」「編集」をおこなっています。さらに、質問を募集して答えたりと、一方通行ではない、教え方もしています。

また、海外では、 MOOCSと呼ばれる大学の授業が一挙に見れるサービスが十分に広がっています。Udemy、Udacity、Kharn Academyなど。さらには、Adobe、Google、Apple、LinkedIn などの企業も、教育コンテンツを積極的に提供しています。

このような時代が来ることは、Web2.0などの書籍が出てきた2000年代には、明らかだった事実です。

つまり、「コンテンツはある」といえます。

欠けているピースは、「学び手の学ぶ力」です。「ラーニング(我々はどう学んでいるか、どう学ぶと良いか?)」について知り、「ラーニングを実践できる力、方法論を知っていること」こそが、大学生、社会人にとって必要なことです。

toiee Lab を始めた理由

toiee Lab を立ち上げた時、まだ zoom も、Udemyも本格的に広がってはいませんでした。しかし、存在していることは知っていました。同時に、大きな時代の流れを見れば、「コンテンツの充実」は確実だと考えていました。

世界は「変化が常態」となり、一度就職したら、ずっと安泰ではなく、会社がなくなったり、別の事業体に変わったり。自分自身が、長い職業人生で燃え尽きてしまったりと、「一生ひとつの仕事」をする時代は終わりました。

つまり、幸運なことに「学び続ける必要性」と「教育コンテンツの拡充」は、同時に起こり始めていました。

そこで、私たちが手がけることは、何か?と問うたところ、

「ラーニングそのもの」
「学ぶ力、学ぶ方法を高める取り組み」

を伝えていくとだと理解しました。

私は、人工知能の研究者として、「知性」を研究していました。知性の中身は、ブラックボックス(わからないの意味)です。しかし、大枠で捉え、活用することは可能です。そのような枠組み、視点で「FILM2学習理論」を構築しました。

この理論は、特別で著作権で守られて、秘密の奥義などではありません。

複数の科学の分野を横断して、総合すれば、誰でも辿り着く結論です。つまり、アカデミックで、一般的で、まともな考え方です。オーソドックスでもあります。だからこそ、多くのことに応用できるし、多くの人に成果を出せます。

そして何よりも、「この知識は、誰でも自由に使っていい」ものになります。


とはいえ、中々理解してもらえませんでした。特に学校関係者の方々には、

「このような考え方、方法論、教え方が広まれば、すごくいい!」
「でも、導入するのは難しい・・・」

と言われてきました。

そんな中、温めたアイデアが「メタ授業」です。

我々はどう学んでいるか、どう学ぶとよいか?を学ぶのが「メタ授業」

来年度から、試験運用を予定している「メタ授業」とは、

  • 我々は、どう学んでいるのか?
  • 学習を、どう理解したらよいか?
  • 学習が起こる条件は何か?
  • それらから、どう学ぶと良いか?

を学び、実践する中で「探求するように学びながら、学び方を探求する」体質を作る授業のことです。さらに、それだけでなく、

「自分が受講している、さまざまな授業を、どう学ぶか?を考え」たり、「それぞれの授業の意味を探求する」 ものです。

これらの活動は、大学の授業の中で行うのは難しいです。そこで、別枠で授業として用意することで、「学生が主体性を持って、授業に臨む」を視点することで、先生方の授業を変えずに、効果を高めようとするものです。

このような考えであれば、大学や高等学校に導入してもらいやすいです。

今後、いくつかの学校で試して、その結果を改善していきたいと考えています。

学会で学べること

学会に参加していただければ、このような最新の取り組みを知ることができます。学校の先生だけでなく、親御さんにもぜひ、学会に参加してほしいです。

残念ながら、子供の学力は学校や塾に、丸投げはできません。むしろ、すべきではありません。学校や塾にも限界があります。

より良い方法は、親として子供の教育に責任を持つこと、貢献することです。その上で、学校や塾が良い補助になるような取り組みをすることです。

では、どうしたら良いか?

「ラーニングとは何か?」を理解し、「ラーニングを促進する取り組み」を知り、実践する。子供たちが「探求して学ぶ」だけでなく、学び方すら探求するように仕向けることです。

もちろん、親だけでなく、自分自身に対しても「セルフ・ラーニング・ファシリテーション」することで、もっと多くを学べるようになると思います。

とはいえ、具体的なハウツーがほしいですよね?

私が提案しているのは、「おいしいコーヒーを淹れる3ステップ」ではなく、「おいしいコーヒーを淹れる方法を自分で、見つけられるようになる方法」のように、聞こえているかも知れません。

それは、半分正解で、半分誤解しています。

よく受講者の方に、「亀田さんは、ハウツーはよくないと思っていますよね?」と聞かれます。私は決まって、

「ハウツーは、便利ですよ。積極的に使うと良いです」

と答えます。相手は困惑しますので、

「ただし、ハウツーを本当に学ぶには、学ぶ力が必要です」
「先生がいうハウツーを、ちゃんと実行するには、学ぶ力が必要です」
「ハウツー x ラーニングは、最強の組み合わせです」

と答えています。

例えば、コーヒーの世界では「粕谷メソッド」あるいは「4:6メソッド」があります。ハウツーとしてはシンプルです。しかし、実際にやってみると、そんなにうまくいきません。いろんな部分を工夫しないと、おいしいコーヒーは淹れられません。

つまり「ハウツー x ラーニング」がないと、学べないのです。

本当は、全ての人に知ってほしい・・・が、諦めてはいます

私は、常々「ラーニングは、教養だ」と主張してきました。今でも、その考えは変わりません。現代の教養は、マネジメント、マーケティング、イノベーション。それらの体系を深く理解する諸所の分野だと、P.F.ドラッカーは述べています。

私は、これにもうひとつ「ラーニング」を加えたいと思います。

現代社会で必要なもの、楽しむもの、全て「学ぶこと」が欠かせません。健康ですら、学ぶことが必須です。納得いく医療を受けるにも、自分である程度学習し、意思決定する必要があります。

こんな時代背景の中では、当然、「ラーニング」は必須科目です。

まだ、学校教育に科目がないのが残念でなりません。いつかメタ授業、ラーニングが科目として入ることを夢見て、活動をしています。

そんな活動の最先端に、興味がありましたら、是非、一緒に「最先端」の苦労と楽しさを味わいませんか?

ここまでの話で、ピンときたり、面白いと思った方は、「無料会員登録」から始めてみてください。楽しい!と思ったら、正会員も検討してみてください。