我々が採用する「ラーニング」の科学基盤は、どこからやってきたのか?

toiee Lab では、「ラーニングとは、複雑適応系に見られるフィードバック制御構造が、フラクタル構造化が動的に活性化している状態」と定義しています。 言葉にすると難しいですが、ラーニングの現象自体は、私たちの体で常に起こっていますし、脳でも発生しています。さらには、この構造は「組織」にも当てはまります。 実際、「学習する組織」で想定している企業モデルと、ピッタリと付合すると言えます。 上記の構造は、「現代科学の基本前提」であり、toiee Lab 独自のものではありません。この記事では、この知識体系の出どころについて、紹介します。

我々が採用する「ラーニング」の科学基盤は、どこからやってきたのか?

toiee Lab では、「ラーニングとは、複雑適応系に見られるフィードバック制御構造が、フラクタル構造化が動的に活性化している状態」と定義しています。

言葉にすると難しいですが、ラーニングの現象自体は、私たちの体で常に起こっていますし、脳でも発生しています。さらには、この構造は「組織」にも当てはまります。

実際、「学習する組織」で想定している企業モデルと、ピッタリと付合すると言えます。

上記の構造は、「現代科学の基本前提」であり、toiee Lab 独自のものではありません。それゆえに、toiee Labのラーニングファシリテーションや、ラーニングデザインは奥義でも、特許で守られるものでもなく、一般的な知識だと考えています。

今日は、この知識体系の出どころについて、紹介します。

科学の発展は、累積的な小さな変化によって発生する

一般的には、科学、新技術、イノベーションなどは「ある一人の天才のひらめき」でもたらされると思われています。ちょっと言い過ぎかもしれませんが、そのようなイメージを持っている人が大多数だと思います。

私たちが学校で習う「蒸気機関 = ワット」のセットですが、これを物心がついていないうちに、しかも忙しく社会という科目の記号として覚えた結果、

「ああ、ワットさんがひらめいて、広がったんだー」

と思ってしまいます。しかし、ワットはこの手の研究、あるいは実用化し、特許を取得したり、自分の名前を広く知られるようにした結果の一人です。

ワットが蒸気機関を思いつくには、それに先行するさまざまな実験、研究、知識、そして「失敗」の累積が必要です。それらを統合して、次の一歩を踏んだ時、時代に名を残したのがワットさんです。

私たちの学習理論も、独自の発明ではありません。

現代科学で広く受け入れられている「前提」や「当たり前」を採用して構築しています。

toiee Lab が採用する「教育」のための科学ベース

ただし、成功法則としてのコーチング理論などが採用する科学とは、全く別分野です。

多くの成功法則の科学は、類推としては乖離し過ぎている(ミクロの量子論を、マクロかつ複雑な商品、地位と関連づけているもの)か、あるいは、無意識の微調整メカニズムを万能とし、あらゆることに「ゴールを明確にすれば、達成できる」とし、説明不足です。

あるいは、100年前のフロイトの研究に端を発し、拡大解釈されてきた「潜在意識」を信奉するようなものも多いです。

一方、教員免許を取得するためのカリキュラムでは、主に「統計に基づく、狭い範囲の人間の反応モデル」がベースになっていることが多いです。これでは、結局は「教えること」「学ぶこと」は、漠然とし、暗黙知のままとなります。

暗黙知を少しでも、形式知へ。体系的で学べて、改善できるものにすべく、toiee Lab では、「別の分野」を頼ることにしました。

それは「システム論」「自己組織化システム」「カオス理論」「適応系」「人工知能」などの分野にまたがる共有認識に近いものです。

人工生命という分野のもとに集まった科学

私(亀田)は、大学では人工知能の研究をおこなってきました。

研究分野は、進化的計算の工学的な応用です。進化的計算だけでなく、カオス理論を利用した近未来予測(数秒先のことです)、自己組織化マップを用いたもの、ニューラルネットワークを利用するものなどを取り扱ってきました。

これらに共通するのは、「生命システム」が持つ、巧妙なシステム、アルゴリズムです。

研究をする中で、自然界に存在する、あるいは「進化」というプロセスを、アルゴリズムという視点で切り出し、コンピューターに応用する視点自体にも興味を持ちました。そのような興味で、さまざまな書籍、分野を探求する中で、「人工生命」という分野に出会いました。

2022年現在、人工生命という研究分野は、ほぼ存在しないと言えます。

ただし、この人工生命という名の下に、多数の分野の研究が集まり、 「違う分野だが、同じことを研究していた」 ことがわかり、新しい科学の潮流が、強力に後押しされたと思います。

人工生命という分野は、クリス・ラングトンによって宣言され、数年間、国際学会が開催され、さまざまな分野の研究が集まりました。

  • 物理的な神経の特性を研究する分野
  • 分子生物学
  • 生物の分布
  • カオス理論などを研究する数学者
  • 新しいアルゴリズムの可能性を研究する計算科学
  • システムダイナミクス
  • 材料、結晶に関する研究

それらを通じて、科学者たちは「自己組織化」するシステムに出会いました。

この新しい科学パラダイムは、やがて経営、リーダーシップなどにも影響を与え、さらには精神性などの議論にも影響を与えました。

現在、このような分野の研究は、以下のような言葉で語られることが多いです。

  • ニューサイエンス
  • 生命論的パラダイム
  • システム思考、動的平衡

FILM2 の意味

私たちの学習の理論は、FILM2という頭文字で表しています。

  • Feedbak
  • Fractal
  • Intentional
  • Lasting
  • Meaningful
  • Meta
  • Inquire
  • Learning

これらは図解したら、同じものを指しています。詳しい説明は、以下のコースでおこなっています。

よかったら、ご覧ください。

https://online.toiee.jp/courses/film-sheet-master

追伸:

少しずつ、FILM2 それぞれについて、説明をしていきます。
お楽しみに!